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認知症の漢方薬

8月27日(日)の漢方研究会では、久しぶりにツムラさんのお話がありました。

【 漢方製剤 最近の話題 】
特に印象的だったのは、「抑肝散 よくかんさん」の認知症への投与でした。

認知症患者の場合、実際に看護する側にとっては、
「計算が出来ない」 「日付が言えない」というような 認知症の中核症状よりも、
周辺症状であるBPSD(幻覚、徘徊、易怒、暴言、暴力行為など)のほうが、
ずっと辛いし、大変な負担となっています。

一般的には、このBPSDを抑えるために、抗精神病薬が使用されていますが
様々な副作用をもたらしたり、患者のADL(日常生活動作)を著しく低下させてしまいます。

「抑肝散」は、元々 小児の夜泣き、むずかり、疳の虫に使われる漢方薬です。
ある認知症患者が夜中に奇声を発して困る という訴えに対して、
子供の夜泣きと同じものと解釈して、抑肝散を処方したところ、
非常に効果があったので、BPSD全般に「抑肝散」の効果を確認してみることになったそうです。

認知症患者を対象に、
「抑肝散」投与群と通常治療のコントロール群との比較検討をしてみると
認知機能の評価については、有意な変化は認められなかったものの
抑肝散投与群では、BPSDの改善が有意に認められ、
予想外にADLも改善されたそうです。
これが、抗精神病薬との違いですね。

加齢とともに、赤ちゃん返りしたとしても
イライラと不機嫌になったり、怒りに身を任せたりするよりも
穏やかな 平安な気持ちで過ごす方が良いに決まってますもの。

「抑肝散」というのは、もう一つ 興味深い服用の仕方があります。
子母同服(しぼどうふく)と言って、お母さんも子供と一緒に服用するのです。
育児ノイローゼになりそうな お母さんの不安にも有効ということですね。

認知症の場合は、患者本人と介護家族が一緒に服用することで
鏡のように反映しあう気持ちの悪循環を、揃って快方に向かわせてくれるでしょうか?

本格的な高齢社会に向かい 漢方薬が見直される機会は多くなると確信しています。



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by kanpoaroma | 2006-08-29 19:08 | 漢方
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